アクティビスト「丸木強」が自己採点“6月総会の我が戦績”#1【株主総会2023】
「個人株主」が総会で声を上げる時代に
――“まずまずの結果”ということですが、その真意は?
丸木:もともと我々は、定時株主総会に出す株主提案の議案については総会決議で通ることは難しいと思っています。株主提案は我々の“アクティビスト活動”の一環だと思っていますので、株主提案を継続して同じ会社に出すことが重要だと考えています。
同じ会社対して、「しつこい」と言われるくらい粘り強く継続して株主提案を行う。そして賛成票を20%程度、毎年のように頂いていれば、経営者の考え方にも何らかの影響を及ぼすという考えです。アクティビストだけではなく、他の投資家も賛成しているということは、やはり、経営者も心の底では株主提案は正しいことを言っていると感じるはずだと私は思っています。
たとえば、「配当を増やしてほしい」という提案についても、配当性向100%という提案をしたときに、同じ株主提案を2~3年続けていると70~80%ぐらいまで引き上げてくることも、起きることがあります。それは経営者が「やはり、配当性向を引き上げるべきだ」と考えている証左にほかなりません。そういう意味でも、“株主提案1回で勝つ”ということは、あまり期待していません。
――丸木さんご本人も株主総会に実際に出席されたと思いますが、今年の総会について、どのように感じられましたか?
丸木:株主総会に実際に出席し、メディアの報道に接して感じたことは、一般株主が総会の場でいろいろと発言するようになってきたということです。一昔前までは、総会での発言者は私一人だけということが多く、非常にアウェーな雰囲気のなかで発言していました。今年もそういう雰囲気の会社はまだありましたが、一般株主もいろいろと発言されて、我々と非常に近い意見を主張する個人株主さんが、1~2人ではなく、5~6人くらいいた総会もありました。
新聞報道を見ても、さまざまな企業の株主総会で、いろいろな株主がそれぞれに発言をしたという記事も結構ありました。我々が株主提案を行った日証金の総会では、今回はテレビ局のカメラが2台待ち構えており、注目されました。総会が終わった後、何人もの一般株主から「頑張ってください」「応援しています」と言われたほど。やはり、株主総会のあり方も徐々に変わってきたのでしょう。
もちろん、実際に株主総会で声を上げる個人株主の割合は少なく、各人の議決権比率は小さいです。しかし、潜在的にどれぐらいの個人株主が発言者と同じように思っているのかを考えると、今後はもっと株主提案の賛成票が増えていく可能性はあるのではないかと思っています。
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